一冊でつかむ日本史
学生時代の歴史の授業というのは、断片的で暗記中心のもので極めてつまらないものでした。
記憶力の良い者が圧倒的に有利で、これらの見直しが最悪の教育システム「ゆとり教育」をもたらしたものだと思っています。
さて、この本では、文明を中心に歴史哲学といった見地から歴史をざっと見通しています。たった200頁の本の中で、日本の歴史やアジアの中の日本、世界の中の日本を知ることができます。
さらに、歴史を縦に見ることで、縄文時代といった過去でさえ、身近なものに感じられ、そこから現代にいたる歴史の流れを理解することができました。
著者は科学思想を3つに分類、精霊崇拝、経験科学、近代科学の3つに分類します。近代科学はわかりやすいのですが、上の二つはどうもうさん臭いと思われ、過去のものとしてきました。
精霊崇拝とは、あらゆるものに霊魂を感じること。朝日を見ると自然に神々しさを感じる私たちは、精霊崇拝の思想が遺伝子を通じて残っているのかもしれません。
経験科学とは、自然の法則と、人間を超える者の思想を組み合わせるもので、宗教や陰陽五行説などが含まれます。
著者の説から考えると、昔は科学と宗教をはじめとした思想が同一、もしくはお互いに作用していたものと思われます。
そしてそのような日本だから、いろいろな歴史を乗り越えられてきたのだとわかります。
年号の暗号だったり、歴史上のヒーローを賛美するもの正しいのですが、文明といった切り口から歴史を再認識し、その文明の担い手である私たちが過去の経験を踏まえながら、
新しい思想のもとで文明を開拓しなければならない、といった大局観を得るのにぴったりの著書だと思います。