中江藤樹
中江藤樹
久保田 暁一
陽明学の祖、かつ内村鑑三の「代表的日本人」の5人の中に数えられた中江藤樹に関する本を読みました。
著者は中江藤樹の出生地の隣町に住んでおられました。高校、大学の教授をされていたそうで、文章は平易で、要点がまとめられており、骨子がよく伝わってきました。
藤樹は、「孝」の哲理と命の根源を指し示し、「畏天命」「明明徳」「致良知」「天道」を説き、それらを文字だけではなく、生活に活かし実践すべきことを具体的に指し示ました。
また、王陽明の説いた「陽明学」を日本流にアレンジ、仏教をも織り交ぜた「藤樹学」に仕立てた経緯がわかり興味深い本でした。
陽明学のポイントの一つ、「致良知」に関して藤樹の考えが違うところ。
藤樹 良知に至る 情欲をとりのぞくことを修行の眼目
陽明 良知に至す 自らが事に当たって錬磨すること
また「格物致知」は
藤樹 物を格(ただ)して知に致る 五事を正して良知に至る
陽明 物を格(ただ)して知に致す 「物」を心が働いた結末としての現実の物事
と訳し、内面を磨くことが一番としている点は藤樹らしいと思いました。
上に出た五事
「貌」温和な顔つき
「言」温和な話し方
「視」穏やかな眼差し
「聴」人の話によく耳を傾ける
「思」思いやりのあること
これらに従い、人間が本来持っている「良知」に従うことが、本来の生き方、とのことです。