2012/05/04

努力論

努力論
幸田 露伴著

このGWは努力論を体得しようと思っています。昨日から今朝にかけてまずは一読。すっかり惹かれてしまいました。

古い文体なので読みづらいのですが、言っていることはわかりやすい。

努力について書かれているのですが、著者が力説しているように、奮闘することではない。私たちが勉強や仕事の際に嫌々、若しくは目標のためにやるのは「凝る気」。凝る気とは違い、努力のために必要なのは「張る気」。「張る気」をもって自然に物事に対処する時の状態、これが努力といいます。

著書では、最初の方で「幸福」について書かれています。「惜福」(福を惜しむ)、「分福」(福をお裾分けする)と「植福」(自分で福を増やす)を押さえるべき。それができるのが人間であり、それを味わうことができるのも人間なのであります。

全体が宇宙論的で、セコセコ日々を過ごしている自分のが情けなくります。努力のために小手先の技術を得るようなノウハウ本ではなく、心を入れかえることができる本だと思います。

2012/04/29

身体は宇宙

おしゃべりなからだ―役立つ30パーツのこだわり美学&健康術
山下 柚実著

毎週、図書館に通っているのですが、堅い本から柔らかい本まで様々な本を借りてきます。

「おしゃべりなからだ」は、軽いタッチで読める上に「自分のカラダ」を再認識させてくれる本。一般的な健康本が「治す」を中心に書かれているのに対し、この本は身体と対話するコツが書かれています。

ヨガの本なんか読むと「身体は宇宙」って書かれているのですが、「宇宙」といわれると天体の宇宙を想像してしまい、なかなか意味が伝わらないもの。

健康な身体を理想とするのではなく、いろんな体験をさえてくれる身体を意識することで、充実した生活を過ごせることができるのでは? この本で、宇宙の意味がほんの少しわかったような気がします。

歳をとるにつれて昔のように身体が言うことをきいてくれなくなりました。このことを嘆くのではなく、労ることが大切なのだろう、本を読んでそんなことを思いました。

2012/04/24

日本人の心

日本人の心
河合 隼雄著

ユング心理学、河合隼雄さんの本。2001年に21世紀を見据えて書かれた本。書かれて10年後の今、この本は日本人が抱えている問題を見事に予言していると思います。

河合さんは、科学と宗教を上手く使いこなしていかねばならない、と強調します。

ここでの宗教とは特定の宗教のことをいうのではなく、宗教性。宗教性ってなんだ?となるのですが、科学と比較するとわかりやすい。科学とは、この世をよりよく知ることに対し、宗教とはこの世をよりよく生きること。医学でいけば、患者の病気を客観的、普遍的にみることができるのが科学。科学は、個人的感情が入らない世界なのであります。

以前、NHKラジオ第一、ラジオ深夜便で奥さんを亡くされたお医者さんがゲストでお話されたのを聞いたことがあります。自分の奥さんを一人の患者としてみているのとは違い、愛おしく思う姿。これが、科学と対立する宗教(性)なのです。

この本では河合さんがいろんな方と対話することで、科学と対立する部分を分析。日本人って何なのか?そしてグローバル化が進む世界の中でどう歩むべきか、といった問題にヒントを与えてくれます。経済発展の中で置いてけぼりされた「宗教(性)」を取り戻している時期なのではないか?と。

さて、著書の中で「つながり」について書かれたいたのですが、これは興味深かったです。

医者から「父は癌だ」と言われた時、「そんなことはない」と思う自分がいる。「父は癌だ」と現実を語るのが科学。そして「そんなことはない」と思う気持ちが「つながり」だ、といいます。

地震の後「つながろうキャンペーン」が流行りました。高いところから「つながりましょう!」と宣伝することは確かに良いことなのですが、「つながる」とは、もっとジワリと温かいものではないのかな〜?と本を読みつつ、思いました。

2012/04/23

サンデル教授の対話術

サンデル教授の対話術
マイケル・サンデル著, 小林 正弥著、訳

先週、これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学を読んだのですが、サンデル教授の授業の進め方について書かれたのがこの本。「これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学」でサンデル教授が何をしたかったのか、さらに全体を通じてすっきりしなかった全体像ってのが、この本、特にこの本の付論を読むことによってようやく理解できました。

さて「正義」というと、政治や司法の場だけのような話になりそうなのですが、私たちは常に正義と一緒に暮らしています。例えば兄弟喧嘩。「おにいちゃんばっかりズルい。」という子どもの些細な話の中に、正義という物差しが出来上がっている。構造主義ではないのですが、生まれたと同時に、死ぬまで、今だに正解のない、流動的な「正義」と付き合っていかねばならないのです。

例えば、前述の親子喧嘩。日本ではほんのちょっと前まで「親や長男のいうことには黙って従え!」で片付けていました。言った方も言われた方も思考停止させていたのですが、グローバル化や政権交代など自分の周りの環境がわかってくると、考え方も変わってくる。昔、正しいと思っていたことが古くさくなってきます。時代に流されない「正義」って何でしょう??

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学では、いろんな角度から「正義」を分析しました。

世の中の正義や権利、幸せなど全ての事は数値化できると説いた「功利主義」。「最大多数の最大幸福」ってのはこの考えなのですが、数値化に偏りがでる危うさ。

「リバタリアニズム」とは、自由や権利を尊重すべきものと説いたもの。これが行き過ぎると「経済的自由」「私的所有権」に発展してしまう。

よい生き方ってのを除外して、正義のみを語る「リベラリズム」。法を重視するのですが、法律に沿っていれば何をやってもいい、という考えに走りがち。

コミュニタリアニズムってのは、コミュニティの中の共通善を重視するもの。コミュニティの多数派が是認していることが本当の正しいことなのか?といった危うさを秘めているのですが、それでもなおサンデル教授はこれを支持しています。

著書付論で、コミュニタリアニズムって東洋的な義と似ている、と説いていました。コミュニタリアニズムが「義」と似通っていると考えると、身近な相手のことを思いやり、人に迷惑をかけないってのが「正義」。

なんだか心許ない感じがするのですが、他の「正義」の定義では、どうしても枠にはまらないことが起きてしまう。「正義」を旗頭に物を言うのは簡単ですが、「正義」とは何かを考えると本当に難しいものです。

2012/04/21

心の整体師

骨盤にきく 気持ちよく眠り、集中力を高める整体入門
片山 洋次郎著

この本、以前借りたことがあるのですが、もう一度読み直したくなって図書館で借りてきました。「ユルかしこい身体になる 整体でわかる情報ストレスに負けないカラダとココロのメカニズム
」を読んで、片山さんの昔の本をもう一度読み直してみたくなったため。

「ユルかしこい」が社会論に発展しがちなのに対し、「骨盤にきく」の方は基礎的で実践的。身体に不調を知り、治したければ「骨盤にきく」、どうしてこんなに不調になるのか根本的な原因を知りたいならば「ユルかしこい」がいい、と思います。

著者は野口晴哉さんの整体法をベースとしているので、骨をボキポキならすような整体ではありません。そして、日常生活の中でじっくり身体を調整していくべきだ、と言っています。身体は四季や環境等の変化で微妙に骨の角度や位置が変わることより、身体の声に耳を傾け、それに応えることを理想型にしているのです。

2冊を通じ中心に書かれているのは骨盤。骨盤って常に開閉しているのですが、上手く開閉ができないと身体に不調をきたすそうです。集中し興奮すると骨盤が締まり、リラックスすると骨盤が緩むのですが、上手くリラックスできないと骨盤の底部が緩んでくれず調子が悪くなる。

SNSをやったことがある人ならわかると思うのですが、集中してコメントを書いている時。この時は骨盤が締まっている状態。

コメントを書き終え、待ちの状態になっている時。この時、身体はリラックスしているのではなく静かな興奮状態になっています。「早く返事が来ないかなぁ〜」「へんなコメント書いて相手が傷つかないだろうか・・・。」この時、PCやスマホから離れていてもリラックス状態になってはいません。著者がいう「骨盤底部が締まりっぱなし」というのがこの状態なのだろう、と思います。

SNS以外にも、仕事の疲れを癒すために飲みに行っても何か虚しい、趣味をしても楽しくない、未来に不安を抱えている、などなど。これらは全て底部締まりっぱなし状態。骨盤の開閉がスムーズになされていないため、この状態が続くと体調に異常をきたすようです。

骨盤全体がしまっている状態・・・究極の集中状態(アスリート等)しまりっぱなしもよくない。
骨盤底部がしまっている状態・・・集中しているように見えてもっとも悪い状態(夢を持てないサラリーマン、お金を使うことでストレスを解消する人など) リラックスしているようにみえてリラックスしきれていない状態
骨盤がゆるんでいる状態・・・リラックスしている状態。(温泉につかったり、空を眺めたり、など)ゆるみっぱなしもよくない。

どの状態も同じ状態が続くのがよくなく、スムーズに開閉が行われるのが理想のようです。

骨盤にきく

「骨盤にきく」は2009年に書かれた本で、若者の無気力状態、キレる状態を、骨格から分析されていたのに対し、2012年の「ユルかしこい」では、社会現象を通じ、中高年の精神状態に関し深く言及されています。「ユルかしこい」はどちらかといえば、若者擁護の方に回っているのが面白いところ。

情報化社会、夢を持てない社会。それらと向き合うのではなく、付き合っていくべきだ、と著者は言っています。カイロや整体に行かなくても、骨盤をゆるめる手法やヒントがいろいろ書かれています。そして気付くはずです。気持ちの入れ替え方で、身体の不調は治るものだ、と。片山さんは心の整体師だと思っています。