新型コロナウィルスの自粛が徐々に解除され、街に活気が戻りつつあります。こうなると、不謹慎ですが自粛中の生活が少し懐かしく思えてきます。
日中、車がほとんど走っていない
仕事をしてはいけない
家でダラダラしている方が褒められる
正直なところ、こんないいことはありません。私自身、ずっと体調が悪かったのですが、自粛ですっかり回復しました。人間、休まないとダメだ、と思いました。働いていないのでお金のことが少し気になるのですが、周りも働いていないんだから、と思うと妙な安心感が出てきます。
最近、自粛が解除になって驚くのが、マスクを外す人が増えたこと。特に若い方に多いです。治療薬が見つかった訳ではないので、自粛前と何ら状況は変わらないのですが、大丈夫みたい。
この流れでいけば、持病を持っている人以外はマスクを着用しなくなる時期はそう遠くないような気がします。
今回のコロナウィルスでは、直接的な影響を受けた業種と、間接的な影響しか受けなかった業種の格差が想像以上に大きいです。
特に密と移動がキーワードとなる業種は、売上ゼロに近いぐらいに落ち込んでいます。こういった業種は、自粛解除となっても実際に回復するまでには時間がかかるだろう、と思います。
飲食業界では、一斉にテイクアウトに動き出しました。おそらく、人出が以前の水準まで戻るまでは、テイクアウトを続けて行かないとお店が回らないでしょう。
ただ、持ち帰りから来店へとシフトしていくに従い、作り置きのスタイルから、注文を受けた後に作る形へと移行していくことになると思います。現代の店屋物(てんやもん)ってピザぐらいしか思いつかないのですが、店屋物もやり方次第では儲かりそうな気がします。暑い時にアツアツなもの、食べたいですもんね。
大型連休前、PCでテレビ会議ができるように設定しよう、と思っていたのですが、設定がまだの状態。連休前は盛り上がっていたのですが、休んでいる間にやる気がなくなってしまいました。
テレビ会議って、会議中は楽しいのですが、結局は雑談に終わり時間の無駄だった、という結果に陥るのではないか、という思いこみもやる気になさにつながっています。
会議室に集合する会議って、何時自分が吊るしあげられるか、ハラハラする緊張感や独特の空気感が最高なのであって、遠隔地で叱られても対岸の火事みたいでちっとも怖くないのです。
確かにテレビ会議では時間と移動費は節約できます。ただし、成長する会社の組織って、同じ空間にこだわりのある困った人間が一人か二人必ずいて、その人の空気を読みながら仕事を進めていくことで、何となく回っていっているところがあります。嫌味な人って必要悪なんですよね。
テレビ会議をやっても最終的には顔を突き合わせてやろう、という以前のスタイルに戻るんじゃないかな、と思っています。テレビ会議をやるくらいなら文章をまとめなければならないメールの方が却って建設的。書く方も読む方も頭の中が整理できているからです。
テレビ会議はサロンか、つかえいないセミナー程度のレベルでしょう。
自粛期間中、いろんな本を読むことができました。実家にあった本で捨てる予定にしていた文学全集なんてのも、紐をほどいて読んでいました。
売上を上げなくちゃ!という強迫観念に駆られると、どうしても経済や心理学・脳科学といった仕事本に偏ってしまうのですが、自粛といわれ、いつ仕事に戻れるかわからない、と思うと、だら?っとしていた若い頃に読んでいた本を読み返したくなるのです。
特にカミュ「ペスト」は、本に線を引いて何度も読んでいます。登場人物が多いのですが、一人ずつ絞って読んだり、後ろから読んで構成を楽しんだり。中でもパルヌー神父は最高!「ペストを解釈しようとしてはならない。そこから学びうるものを学ぶように努めるべきだ」というフレーズ、いいですね。
パルヌー神父は、新型コロナウィルスで現実逃避しそうになる自分を、社会に引き戻してくれました。